癖のある歌い方に憧れるボーカリストのかたは、多いのではないでしょうか。プロのボーカリストは歌が上手いのはもちろん、一聴すればすぐにその人の歌だとわかる個性があるものです。そこで今回は、癖のある歌い方の一つとして「こぶし」に注目します。こぶしとビブラートの違い、個性をつくり出すこぶしの使い方についてお伝えします。
「こぶし」とは歌い方に個性を出すテクニックの一つ
こぶしというと真っ先に演歌を思い浮かべるかたがほとんどではないでしょうか。一般的にポップスやロックでこぶしを使った歌い方をすると演歌っぽくなってしまうのではと思われるかたは多いと思います。しかし、実際には演歌以外でもこぶしを使って歌うボーカリストは少なくありません。
そもそも、こぶしとは、歌の要所で瞬間的に音を上下させるテクニックの一つです。ここぞという箇所でうねり上げるように音を上下させることで、声に表情が生まれ、聞き手に感情が伝わりやすくなるメリットもあります。
こぶしとビブラートの違い、上手いこぶしの使い方
音を上下させるというと、ビブラートと混同されるかもしれません。しかし、実際にはこぶしとビブラートには大きな違いがあります。それは規則性です。
ビブラートも歌のなかで音を上下させるテクニックですが、その上げ下げは一定のリズムのなかで周期的に行います。これに対し、こぶしは、音の上げ下げをビブラートよりも強く感じさせるため、不規則かつ強調して行います。
滑らかに音を上下させるビブラートに対し、こぶしはあえて粗く聞こえるように歌います。ポイントは母音の使い方です。こぶしを効かせたい箇所で「あいうえお」の母音を伸ばさずに繰り返し出します。
例えば「あー」と伸ばす部分を「あ、あ、あー」といった感じで一音ずつ強く歌うようにすることで、こぶしを効かせた歌い方になります。
こぶしの使い過ぎに注意して個性ある歌い方を見つけ出そう
こぶしの使い方をマスターすれば、癖のある歌い方にもつながります。ただし、注意しなくてはならない点が2点あります。それは、こぶしを使い過ぎないこと。そして、こぶしを効かせる箇所以外をしっかりと歌えるようにすることです。
こぶしは「ここぞ!」という箇所で使うと非常に効果的ですが、一曲のなかで何度も使うとそこばかりが印象に残ってしまい本来伝えたい部分が伝わらなくなる場合があります。
また、こぶしにばかり意識が行き過ぎてしまい、それ以外の部分がおざなりになってしまうと歌が下手に聞こえてしまう場合もあるでしょう。個性をつくり出すには、まずしっかりと歌を歌えるように練習をし、そのうえでアクセントとしてこぶしをマスターすることが重要です。
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